〜政宗ルート 愛〜
初めてお会いしたとき、戸惑ったようなお顔が印象的でした。私の初めてみる服、小十郎と数少ない側近だけがわかる南蛮語。それを操るさまを私は尊敬いたしました。殿の思し召しから『竜の巫女』となられたさまでしたが、あの日、私は確信いたしました。
出陣の前、晴れていた空がさまの舞によってたちまち雷雨に変わったのです。控えておりました私はいけないこととは存じましたが喜多に申し付けて御簾の向こうから殿やさまを見ておりました。あの時の衝撃は忘れられません。
この方こそが、殿を守護なさる龍神の化身なのだと。満海上人の生まれ変わりの殿を守護される神の巫女さまなのだと。
私はさまが殿の元に降りてきていただいたことに感謝いたしました。殿こそがこの乱世を治めるにふさわしいお方。それは愛が初めて殿にお会いしているときから思っておりました。ですがその時は伊達家はまだ奥州の一地方を治める小家でしたが、殿が後を継がれてからの目覚ましい発展は嫁いだ私の自慢でもございます。それがいよいよ天下に討って出るときだと私も承知しております。
ですが───────────。
さまが殿のお側におられるときの殿のお顔に、妙な心持がいたします。これは何という醜い感情かと。喜多にも、いえ、誰にも悟られてはならぬ感情。さまがご側室になられてから、殿は変わられました。とてもお優しくおなりになられ、私の元へもよくお通いになられるようになりました。今までよりずっと優しい殿のお言葉や仕草に、時折、こう思います。
何故私では殿のお心を安んじることができないのか、と。
醜い心なのは承知しております。さまといらっしゃる殿はとても穏やかで、あの荒々しかった梵天丸さまがこうもお変わりになられるのか、と驚いております。
いえ、何を言っても愚痴になります。それでも、さまがこの奥州にお留まりくださる、それは何より嬉しいと思います。殿を守護する『竜の巫女』。ですから殿と結ばれるのは道理でございますのに、詮無きことを申しました。これより御仏にお祈りいたしたいと存じます。どうか私のこの醜い感情が一日も早く清らかになりますように───────────。そしてこの感情をさまと殿に悟られませんように。愛は生涯、お二人にお仕えしとうございます。どうか、どうか、罪深い私にお慈悲をくださいませ。